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助成事業

今年も「ルーセント・テクノロジーIYF青少年育成基金(以下ルーセント基金)」、「Panasonic & JIYD 子どもサポーターズ☆マッチング基金(以下マッチング基金)」の2助成事業に対して合計100件の申請書類を受け取りました。助成申請額の合計は約1億5千万円にも達し、厳正な審査の結果その内の10件に対して約1500万円の助成をしました。

審査のプロセス

助成事業の流れ

助成事業は、社会の動向を見ながら助成対象事業や助成金額等を検討するところから始まります。次に、NPOのサポートセンター、関連メールマガジン等にプレスリリースを送付し、PR活動を行います。

助成を希望する団体は、決められた様式に則って申請書を作成します。内容は、団体の設立趣旨、日常活動、助成を受けたい事業の内容やその必要性について、更には、事業のスケジュールに詳細な予算計画、実施体制と細かく多岐にわたります。団体の決算書や代表者の略歴等も必要です(全部で10P程度になります)。

申請書類の作成は大変な労力ですが、助成金は「活動に共感した個人的な寄付金」でもなければ「プレゼント」でもなく、「社会性をもった価値と成果に対する投資」であり、書類は当然「プロフェッショナルな仕事=しっかりした事業計画」を明らかにするものでなくてはなりません。

申請締切日翌日には封筒の山を次々と開封し、隅々まで目を通します。それらの書類の全て(厚さはなんと10センチ強)が審査委員会の委員の手元に送られ、第1次審査委員会を迎えます。審査委員全員が集まり、審査基準をもとに事業計画や予算計画に過不足がないか、あるいは団体の成長につながる事業かどうか等を議論します。この段階でおおよそ10分の1に絞られます。

第1次審査を通過した事業には必ず訪問調査を実施し、申請書類だけでは分からない詳細について約50項目(2~3時間)聞き取りをします。申請書と実態にギャップがないか判断するために、この調査は不可欠です。第2次審査委員会は、訪問調査の結果もふまえ、白熱した議論の末、最終的な助成先と助成金額が決定されます。

助成決定した団体とは、助成金を使う目的や実施計画等を定めた「助成確認書」を締結しから初めて助成金が支払われ、その1年後に、最終事業報告書並びに会計報告書を作成し、助成事業が終了します。

私達の助成事業は、他の財団等の助成事業等と比較して、提出する書類の量や訪問調査の実施等、手間隙をかけていると言われます。それは、この助成資金を提供してくださっている企業や財団、並びに寄付をしてくださった多くの方から私達がお預かりした「信頼と期待」、それに何よりも子ども達への「想い」に応える責任を負っていると考えています。すべては、お預かりした資金を最大限効果的に活用してくれる情熱と行動力をもった、信頼に値する団体と協同するために実施していることであり、それが私達の責任と誇りの証です。

今年の特徴

「ルーセント基金」は、成果の上がっている活動の規模の拡大を目指した事業等が採択されました。「マッチング基金」は、活動を支えるスタッフ体制の強化などを目指した基盤強化事業が採択されました。詳しくは、次頁の紹介をご覧下さい。

  • 2003年末で、これまで提供してきた助成金の累計が約1億円となりました。その成果については、2004年にご報告する予定です。
  • 「ルーセント基金」は、2003年度の公募を最後に終了致しました。ルーセント・テクノロジー財団とのパートナーシップは別な事業を通じて継続されます。

ルーセント・テクノロジーIYF青少年育成基金
2003年度事業概要

a) 申請団体の地域分布

 申請団体の地域分布

b) 申請団体の有給職員数

申請団体の有給職員数

c) 申請団体の年間事業予算額の分布

申請団体の年間事業予算額の分布

Panasonic & JIYD
子どもサポーターズ☆マッチング基金
2003年度事業概要

a) 申請団体の地域分布

申請団体の地域分布

b) 申請団体の有給職員数

申請団体の有給職員数

c) 申請団体の年間事業予算額の分布

申請団体の年間事業予算額の分布

Panasonic & JIYD
子どもサポーターズ☆マッチング基金
2001年助成団体

ウィズネイチャーは、幼児~中学生まで、子どもだけでなく、親子で自然体験できる機会を提供している団体です。「自然体験活動」というと、子ども達のためというようなイメージはありませんか?子どもの成長過程で自然体験はとても大事な要素ですが、その貴重な体験を同じ視線で分かち合えるお父さん・お母さんの存在も重要ですよね。そこで、お父さんやお母さんも含め、家族で日常の生活から少し離れ、森の中で自然の素材を使ったクッキングや雑貨の手づくりなどを体験することで、自然のおもしろさを再発見!お子さんと行くいつもの公園や散歩道も違った角度から新鮮に見られるように、と様々なプログラムを展開しています。2001年に受けた助成金は、活動をこれまで以上に幅広く展開するために、リーダーを3人増やすための研修費として活用しました。実践的なリーダー養成講座等に参加することでリーダーとして危機管理等の様々な能力が高まり、全体のプログラムの質と実施回数を増やすことが可能になりました。その結果これまで代表者宅を事務所として使っていたのですが、2003年7月兵庫県神戸市西区に事務所を構えるまでに発展することができました。活動内容を深めていくこと、より多くの子どもと家族へプログラムを提供できることが、ひいては子どもが地域に関心を持ち、環境意識を育んでいくことに繋がっていくことと確信しています。

ウィズネイチャー
代表 西森由美子

子ども達を取り巻くさまざまな問題を解決するため、国や行政が学校教育改革に取り組み、効果をあげている一方で、不登校の子ども達の問題など対処しきれない事柄も多く残しているのも現状です。今の社会は多様化が進み、国や自治体行政の行う画一的な支援だけではなく、より「個別的」かつ「細やかな」支援が求められています。そのような中で、NPOはその特徴ともいえる「先駆性・個別性」を活かし、多種多様な地域ごとの問題を細かくとらえ、着実に成果をあげています。NPOの活動への社会的注目も集まり、1998年にはNPO法が制定されましたが、どんなに社会的に意義ある活動も資金がなければ実現はできません。優れたNPOがより発展していくような助成金の提供がこれからの課題であると考えます。そのなかで、JIYDが実施している助成事業は子ども関係のNPOへの支援としてとても意義があると思っています。

NPO法人 日本NPOセンター
事務局長 田尻 佳史